上野天神祭 コラム

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楼車の方向転換

上野の楼車の車輪は自動車のように前輪の角度を調節して方向を変えたり、楫(かじ)棒によって進行方向をコントロールすることができません。
そのため、曲がり角では「方向万力」という地車を使って後輪を浮かせ、前輪を支点として車体を回転させます。四輪を地面につけたまま引っ張って廻すと車輪や車軸に大きく負担がかかりますが、方向万力を使って回転させることで車輪にかかる負荷が軽減されるのです。

上野天神宮前の道は三か所方向転換をすることがあります。三回万力を下ろし方向転換するだんじり町もあれば、力づくで方向転換するだんじり町もあります。

囃子の種類

上野天神祭の囃子には、「祇園囃子」と「三味線囃子」の2種類があり、前者 は鉦・太鼓・竜笛からなる京都祇園祭の祇園囃子系統(8基)、後者は鉦・太鼓・小鼓・篠笛・三味線の五楽奏(1基)で構成されています。
曲には神様への奉納や調子づけなどそれぞれ機能があり、行きの曲と帰りの曲、出発時の曲、角を曲がる時の曲、人通りの多い見せ場での曲、楼車蔵に収める時の曲など、町によって5〜17曲が場面ごとに演奏し分けられています。

また西町や東町のだんじりは前に座りお囃子の合いの手を入れています。

鬼行列は2グループ

一本歯の下駄で歩く役行者

鎮西八郎為朝は鬼行列の後尾を務めています。

一見一列に見える鬼行列は、実は「役行者の峯入り」をモチーフにした行列と「鎮西八郎為朝の鬼退治」をモチーフとする行列の2つのグループに分かれており、それぞれに「大御幣」「鬼王剣先」といった印があります。
全国的にも珍しい鬼行列で使用される面は江戸時代のものが中心で、古いものでは桃山時代のものもあり、三重県または伊賀市の指定文化財になっています。

バナー_天神祭名称解説

祭り町【まつりまち】
上野天神祭に楼車または鬼行列を出す三筋町13ケ町の名称。

三筋町【みすじまち】
碁盤目状になっている上野城下の町のうち、東西の本町筋・二之町筋・三之町筋の三筋町と、南北の東之立町通り(通称・銀座通り)・中之立町通り・西之立町通りに面する14ケ町の総称。

楼車町【だんじりまち・ろうしゃちょう】
上野天神祭に印と楼車を出す9ケ町(新町・東町・中町・西町・向島町・鍛冶町・魚町・小玉町・福居町)の総称。

鬼町【おにまち】
上野天神祭に鬼行列を出す4ケ町(相生町・紺屋町・三之西町・徳居町)の総称。

印【しるし】

印紹介ホコ 印紹介ヤマ
本来は神霊を神社に遷却するための依代で、鬼行列の太鼓台や楼車はそれを囃し賑わすための町印として各町の出し物の先頭に立つ。
現存するものは多くが江戸時代後期から末期に造られたもので、「ホコ型」と「人形山型」の二種類があり、前者は幟や旗竿の先端に出しを飾るタイプ、後者は方形の壇の上に人形を飾るタイプである。

楼車【だんじり・ろうしゃ】

楼車紹介
鬼行列のあと、各町の印に続いて巡行する囃子屋台。上層にある囃子座の天井は西町が布張り、その他が彩色の百花図などが描かれた格天井であり、屋根は切妻破風造と向唐破風造の二種類がある。
彫刻や彩色が控えめで、漆の黒色と金箔の金色を基調にまとめられた落ち着いた装飾意匠が特徴。このことによって、囃す対象である印や華やかな幕を引き立てている。