伊勢参宮講看板

江戸中期頃、伊勢神宮への集団参拝が盛んだった頃、集団参拝は「講」が単位で議員が揃って道中したそうです。どの「講」も、道中で泊まる定宿や伊勢で宿泊する御師の家を定めていて、定宿には講名を記した板の看板を置き、定宿契約のしるしとしました。それが『参宮講看板(講社札)』です。定宿を決めるには、講の世話人が「宿取り」といって、あらかじめ宿場をまわり、契約がきまると反物二、三反を添えてこの看板を渡したとされます。

講には「真栄講」「猩々講」など、それぞれ名がついており、京都・大阪をはじめ西国からの参宮客は、大和榛原宿から初瀬街道をたどって青山峠をこえ伊勢にむかいました。阿保・伊勢地・一志郡垣内は青山峠の両裾にある宿場町として行き帰りの参宮客で大いに賑わいました。

講看板には大きさは色々ありますが、平均して縦60㎝、横30㎝、厚さ3㎝ぐらいのケヤキ材で、講名・地名などを深く彫り、色彩をほどこし、その上に漆をかけ意匠をこらしたものでした。来宿の予定日には、この看板を軒先に吊るして目印としたそうです。また、講では街道沿いの宿場・宿泊所・里程・定宿などを刷った道中案内書をつくり講員に渡したりもしました。

▼こちらの画像をクリックすると拡大します(道中案内書)
道中案内書

初瀬街道交流の館「たわらや」

初瀬街道阿保宿にあった旅籠「たわらや」を改修し、重要な街道遺産である『参宮講看板』を保存・展示するため、【初瀬街道交流の館 たわらや】が建てられました。
この「たわらや」には、文政から明治にかけた講看板が数多く保存され、鉄道が開通するまで初瀬街道が参宮客で賑わっていたことを物語っています。また、ここに残された講社札の78枚が昭和45年(1970)2月25日に三重県文化財民俗資料に指定されました。

交流の館として生まれ変わった「たわらや」には参宮講看板のほか、街道にまつわる品物や資料を展示しています。

[住所] 伊賀市阿保1418
[電話番号] 0595-52-2000(阿保地区市民センター)
現在閉館していますが、施設をご利用される場合は上記までお電話のうえ、ご予約ください。
[施設利用料] ※要予約
1階ロビー 9:00〜12:00 210円 / 13:00〜16:30 210円
2階和室  9:00〜12:00 420円 / 13:00〜16:30 420円

 

 


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